RECIPEつくるたのしみ
チキンソテークリーミードライトマトソース

加えるだけで味が決まるペーストやソース、おいしさを凝縮したオイル漬けなどの食材は、毎日の食卓の心強い存在です。ただ、便利な一方でなかなか使い切れなかったり、いつも同じメニューになるなどといった悩みも。
そこで、数々のレストランで腕をふるい、多彩な経験をもつ米澤文雄シェフに、DEAN & DELUCAでも長く愛される定番食材のアレンジレシピを教えていただきました。

ARRANGE ITEM
イタリア・ピエモンテ州の『プルノット』とつくった「イタリアンフルーツトマトのオイル漬け」。『プルノット』は、1863年から続く農家であり、加工食品のつくり手です。自然環境保護や無添加であることを大切に、イタリアでは有機栽培農家にも認定されています。このドライトマトは、フルーツトマトをセミドライにして上質なオイルに漬け込み、食材のフレッシュで濃厚な味わいが封じ込められています。
「野菜は、乾燥させると水分が飛び、旨味や味わいが凝縮されて味が濃くなります。とくに、トマトの場合は甘味が出る。このドライトマトは程よく水分を飛ばしているので、ジューシーでお料理にも使いやすいですよ。
塩分がそんなにキツくないので、そのまま食べてもトマトのおいしさをすごく感じられます。また、漬け込んだオイルにオレガノやニンニクなども入っていて、風味もかなり豊か。いいバランスで、アレンジのきく味わいです(米澤シェフ)」
「チキンソテークリーミードライトマトソース」のつくり方
皮目をパリッとソテーしたジューシーな鶏もも肉に、こっくりとしたソースが絡んだメインディッシュです。お好みで、もも肉を胸肉にしたり、生クリームは加えずペペロンチーノのようなオイルソースに仕上げても。

材料(2人分)
鶏もも肉 | 1枚 |
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★イタリアンフルーツトマトのオイル漬け(1cm角に刻む) | 80g |
白ワイン(料理酒でもよい) | 100ml |
生クリーム | 150ml |
ディジョンマスタード | 40g |
にんにく(みじん切り) | 1片 |
パルミジャーノ・レッジャーノ | 30g |
バジル(フレッシュなもの) | 5枚 |
つくり方
- 肉は、一口サイズに切り、塩コショウ(分量外)で下味をつける。オリーブオイル(分量外)をひいたフライパンで、中火で芳ばしく焼き上げる※1。
- 肉が狐色になったら、フライパンの余計な油をクッキングペーパーなどで取り、オリーブオイル(分量外)を足す。にんにくを炒めて香りを引き出し、セミドライトマト、白ワイン※2を加えて強火でアルコールを飛ばす。
- 2に生クリームを加え、沸いたら弱火にして1〜2分ほど煮詰める。
- 3にディジョンマスタード※3を加え、全体に馴染ませる。ソースが煮詰まりすぎたら水(分量外、大さじ1程度)を加えて濃度を調整する。
- 4にパルミジャーノ・レッジャーノを加え、火を止めたら、仕上げに刻んだバジルを入れ、うつわに盛り付けたら出来上がり。
Tips 1|鶏肉は皮目から焼く
中火で熱したフライパンに皮目から入れ、あまりさわらないこと。焼く時間の70%を皮目、30%が反対の面と意識すると、パリッと芳ばしく焼き上がる。
また、胸肉の場合は、加熱するとパサパサした食感になりやすいので注意が必要。あらかじめ砂糖と塩でマリネしておいたり、焼いたら一度取り出して、出来上がったソースに加えて温め直すとしっとり仕上がる。
Tips2|白ワインで風味と味わいよく
白ワインがなければ料理酒でもいいが、できれば白ワインを準備。程よい酸味が残り、味わいがよくなる。
Tips3|ディジョンマスタードもおいしさの一つ
マスタードシードにお酢や塩を加えてつくる「ディジョンマスタード」。ソーセージやパテなどのアクセントに少量つけてたのしむイメージがあるが、これも調味料の一つ。ソースなどに加えると、グッと風味が豊かに。
「もしお料理が残ったら、そのままごはんにかけてオーブンなどで焼いてドリアにしてもいいし、リゾットのようにごはんと煮込んでもおいしいですよ。
このセミドライトマトは漬け込んだオイルもおいしいので、サラダのドレッシングに混ぜたり、パスタの隠し味にしたり、パンを浸して食べたりするのもおすすめ。いろいろたのしめば、きっと2週間くらいで使い切れてしまうはず(米澤シェフ)」
開封したドライトマトを保存するときは、蓋をしっかりしめて冷蔵庫へ。なるべく早く使い切ります。どうぞ今回ご紹介したアレンジレシピやアレンジのコツを思い出して、のびのびお料理してみてください。

米澤文雄|FUMIO YONEZAWA
株式会社No Code代表。オンラインサロン「Chef +」を運営する。恵比寿のイタリアンで修行後、22歳で渡米。N.Y.の三ツ星レストラン『Jean-Georges』で日本人初のスーシェフを務め、多様な食生活の人々をもてなす。2018 年秋、東京・南青山にグリルレストラン『The Burn』をオープン。著書に『ヴィーガン・レシピ』(柴田書店)。