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ワインのルーツ「テロワール」をめぐる

「テロワール」-ワインに親しむための大切なキーワード
「テロワール(Terroir)」とは、ワインの世界でよく聞かれるフランス語です。辞書のうえでは「風土の」「土地の個性の」といった意味合いですが、いうなれば「ブドウをとりまく環境全て」。畑の気候、土壌、水。そして、それら自然環境に向き合うつくり手の情熱。一本のワインのルーツを知ると、ワインのたのしみはぐっと広がります。
また、その土地独自の食文化も、ワインと食を堪能するうえで欠かせない、もう一つのテロワールといえるでしょう。同じ太陽の下で育ったワインと食材には、深い部分で共通する特別な相性があるからです。
つまり、産地を知れば、ワインを囲む食卓はもっと豊かになるはず。ここからは、DEAN & DELUCA(ディーン アンド デルーカ)がおすすめする3つのエリアをピックアップ。テロワールを巡る旅をお届けします。
アメリカ カリフォルニア州 ナパヴァレー

複雑で理想的な気候風土のカリフォルニアワインの聖地
サンフランシスコの北に位置する、カリフォルニアワインの聖地「ナパヴァレー」。「ヴァレー」という名の通り、本来は内陸性気候を有する、暑く乾燥した渓谷です。そこにカリフォルニアからの冷たい海風が吹き込み、ブドウづくりに最適な、寒暖差の激しい気候が生まれます。
ナパワインの何よりの魅力は、地区ごとのマイクロクライメット(微小気候)による多様性といえます。全長約56キロ、幅8キロの細長く小さなエリアには、重厚なカベルネ・ソーヴィニヨンをつくる地区もあれば、エレガントなピノ・ノワールを産する冷涼な地区もある。そんな複雑で魅力的な気候風土と、それを読み解くつくり手。この2つが揃ってこそ、世界的に見ても稀有な、ナパのテロワールが完成するのです。
<主な品種>
赤-カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、ピノ・ノワール、ジンファンデル
白-シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン
<産地>
良質なカベルネ・ソーヴィニヨンの産地・ラザフォード地区、ナパヴァレー最南端のロス・カーネロス地区、かの有名な「オーパス・ワン」を有するオークヴィル地区など。
イタリア ピエモンテ州

「イタリアワインの王様」を生む美食の都
南はフランス、西はスイス国境に接する、イタリア北西部のワイン産地です。「山の麓(足)」という名の通り、背後に山を控えるこの州。冬は寒く、夏は暑く乾燥した気候で、その寒暖差によって生まれるブドウのきれいな酸が、高品質なワインの源となります。
中でも「イタリアワインの王様」と呼ばれる長期熟成タイプの赤ワイン・バローロや、その弟分バルバレスコ。そして、中甘ロスプマンテ・アスティなどといった銘柄は、ワイン好きなら一度は耳にしたことがあるでしょう。また、地元で長年愛されるバルベーラやドルチェットも、デイリーに飲みやすい良質な赤品種です。
そんなピエモンテは、豊かな酪農や山の幸に恵まれた、いわば「スローフードの王国」。チーズ、トリュフなどのキノコにジビエ。ここだけのおいしさとワインを味わうために、訪れる美食家は後を絶ちません。
<主な品種>
赤-ネッビオーロ(バローロ、バルバレスコの品種)、バルベーラ、ドルチェット
白-モスカート・ビアンコ(アスティ、モスカート・ダスティの品種)、コルテーゼ
<産地>
有名なのは、州南部の丘陵地帯。バローロのつくられる「ランゲの丘」や、バルバレスコ、甘口のスパークリングワインの名醸地「アスティ」など。
フランス ロワール地方

多彩なワインを育む美しき産地
中世の美しい古城が点在する、世界遺産としても有名な「フランスの庭園」。全長1000キロにもおよぶロワール河流域は、ワインの一大産地として知られています。ブルゴーニュより北にありながらも、気候は温暖。冬は暖かく、猛暑もめったにありません。
そんな穏やかな風土で生まれるワインは、多様な品種と気候を活かした幅広い味わいが魅力です。フレッシュな白をつくるペイ・ナンテ地区、ロゼ、白、泡、赤と幅広いワインを生むアンジュ&ソーミュール地区、そして大西洋と大陸気候、両方の気候の恵みを受けたトゥレーヌ地区。さらに上流には「サンセール」などの爽やかなソーヴィニヨン・ブランで有名な、中央フランス地区もあります。ここはカジュアルな早飲みタイプの産地として親しまれていますが、最近では自然派のつくり手も増えているよう。さらに多彩なワインが生まれつつある、注目のエリアです。
<主な品種>
赤-カベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニヨン、ガメイ
白-ミュスカデ、シュナン・ブラン、ソーヴィニヨン・ブラン
<産地>
ワイン産地は、ロワール河流域とその支流に寄り添うように点在。下流から、ペイ・ナンテ地区、アンジュ&ソーミュール地区、トゥレーヌ地区、中央フランス地区と、4エリアに大別されています。