SEASONAL旬をたのしむ
八十八夜のたのしみ「走り新茶」

素肌を駆け抜ける風が爽やかに、心地よくなってくる頃。春と夏の、季節の変わり目を「八十八夜」といいます。これは、2月4日の「立春」から数えて88日目のことで、毎年5月2日頃に訪れます。
この頃から霜がおりなくなるので、稲の種まきなど農作業の準備を始める時期や、茶摘みの目安とされてきました。また「八十八」を組み合わせると「米」という字になったり「八十八」は末広がりで縁起がよいため、八十八夜に摘みとられた「走り新茶」をいただくと、無病息災で元気な一年を過ごせるとも言われています。これは、新芽でつくる新茶特有の旨味や甘みの成分が豊かだからという説もあります。その味わいは、苦味が少なく、爽やかで清々しい香りいっぱいの、新茶特有のおいしさです。

新茶をたのしむポイント
水
汲みたての水道水、または軟水をしっかり沸騰させます。空気を含んだミネラル分の少ない水が、お茶の風味や香りを吹き出します。また、沸騰した手のお湯は温度が高過ぎるので、一度茶器にいれて、温度を下げてから急須に入れてください。
道具
日本茶をいただく道具として、まず揃えたいのは、蓋がついた急須です。最適な温度でいただくため、急須はあらかじめ温めてから使いましょう。
時間
茶葉の旨味や香りを引き出すために、適した抽出時間は40~60秒です。また、新茶は新鮮さも大事です。長く置くと香りや味が落ちてしまうので、開封したらなるべく早くいただきましょう。
新茶のおいしい煎れ方
新茶を、よりおいしくいただきましょう。
煎れ方(一人分)
茶葉の量 | 5g |
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お湯の温度 | 70〜80度 |
お湯の量 | 130cc |
抽出時間 | 40〜60秒 |
※香りをたのしむには、やや熱めのお湯を。甘味をたのしむには、ぬるめのお湯で煎れてください。
※急須にある最後の一滴まで、茶器に注ぎ入れましょう。旨味がそこに多く含まれています。
※茶葉は、お湯に浸したままでは苦味の原因になるので、二煎目もたのしみたい場合は、その都度、お湯を足しましょう。
旬は、あっという間に通り過ぎてしまう、まさにこの時期だけの特別なものです。自然がもたらしてくれる味わいは、日本の豊かな四季や、土地の恵みのおいしさを教えてくれます。