RECIPEつくるたのしみ
秋のごちそう

調味料を活かして秋の素材に新しい味を
うだるような暑さも一段落。乾いた空気と心地よい涼しさを感じる秋も真っ盛り。
新米、果実、ナスに鮭。旨みをたっぷりと蓄えた秋の食材を見ると、食欲もぐっと刺激されます。よい素材が手に入ったら、シンプルな調理法でストレートに味わうのが一番。ふだんよりちょっとリッチな基本調味料や、合わせ調味料、白だしなどのお助け調味料を選べば、素材のよさをぐんぐん引き出した奥深い味を手軽につくることができます。
今回は、新潟県南魚沼市にある料理自慢の宿『里山十帖』へ。料理長の北崎さんに、秋の素材のたのしみ方と調味料の使い方のヒントを教えてもらいました。
果実
梨・無花果・柿、ブドウ……。秋に旬を迎える果物は、そのまま食べるだけではもったいない。料理に使うことで、特有の食感や甘さ、香りを存分にたのしむことができます。
梨は、みずみずしさを生かしてキュウリと純米酢とともに、和え物に。はしりの梨と名残りのキュウリが出会った小鉢は、簡単でありながら美しい季節を感じられる味です。
熟した風味と濃厚な甘みをもつ秋の果実は、胡麻との相性もよし。ブドウと無花果を香りのよい葉野菜とともに盛り合わせ、胡麻だれをかけるだけで、旬を満喫する一皿が完成します。合わせる野菜はセロリ、ネギ、春菊などにしても美味。

無花果とブドウの胡麻だれサラダ
食べやすい大きさに切った無花果、ブドウと、水菜などお好みの野菜を器に盛り、胡麻だれを適量添えます。煎り胡麻やゆず胡椒などを加えてもおいしい。
梨とおろしキュウリの和え物
キュウリはすりおろし、同量程度のオリーブオイルを加え、ミキサーまたは泡立て器で合わせます。塩、純米富士酢をお好みで加えて味を整え、食べやすく切った梨にかけます。
新米
「日本に住んでいてよかった」と心から思えるシーンのひとつが、炊きたてのごはんをいただくとき。毎年、新米が出回る時期が早まってきていますが、旨味を蓄えた大粒のお米を味わうには、10月末から11月がベストシーズンです。
具材たっぷりの炊きこみごはんをおいしく炊き上げるには、意外にもフライパンや中華鍋が大活躍。香ばしいお焦げも簡単にできるので、新米の時期に挑戦してみてください。香りよい炊きこみごはんは、おもてなしの締めくくりにもぴったりです。

舞茸とたけのこ山椒醤油漬けの炊込みご飯
米2合、白だし40ml、水360ml、たけのこの山椒醤油漬け※ 大さじ2を、中華鍋に入れ、強めの中火にかけます。沸騰したら全体をかき混ぜ、ほぐした舞茸を入れ、蓋をして弱火で8分炊き、さらに火を止めて10分蒸らします。炊きあがったら全体を混ぜ合わせましょう。
※野菜や山菜などを、出汁や調味料などと合わせた具材を活用すれば、手軽に具沢山な炊き込みごはんが味わえます。
秋鮭
北の海で成長し、産卵期の秋に生まれた川に戻って一生を終える。毎年9月から11月、川に遡上する前の鮭を「秋鮭」と呼びます。サーモンピンクの美しい色合いから赤身魚と思いがちですが、実は白身魚。特有のピンク色は、海老やカニをえさにしていることに由来します。
クセの少ない味とやわらかな食感が、様々な料理に適していますが、和食でいただくなら、鮭の卵であるいくらを合わせると、風味や色彩が近くてマッチします。
また、肉厚な鮭の切り身が手に入ったらつくりたいのが「秋鮭のいくらソース」。つぶしたいくらと上質な醤油を混ぜただけのシンプルなソースが、鮭の淡白なおいしさを一層引き立てます。身のしっとりジューシーな食感と皮にまぶした煎り玄米のカリカリ感で、口中に心地よいリズムが生まれます。

秋鮭の豊年焼きいくらソースいか
鮭の切り身は、振り塩をして、小麦粉をまぶします。皮目を下にしてオイルを敷いたフライパンで焼き、しっかり焼けたら酒(白ワイン)をふりかけ、蓋をして、弱火で6分ほど蒸し焼きに。いくら少々をスプーンの背で軽くつぶし、鮭の皮に塗り、から煎りした胡麻と玄米を皮にふりかけます。フライパンに残った焼き汁は、少し煮詰めて、醤油を少量加えて残りのいくらと合わせソースにします。
ナス
真夏の太陽を浴びておいしさを蓄えたナスは、つややかな紫色と調理法によって劇的に変わる食感が魅力。
油との相性がよく、素揚げしてから味付けをする「田楽」や「オランダ煮」は、ボリューム感を楽しめます。定番の「焼きなす」は、豆乳とともにスープにして、トロリ食感を堪能しましょう。

ナスのコリアンダー味噌田楽
「モロッカンシチュー」
「天日塩仕込特別吟醸白味噌」
ナスは、180°Cの油で素揚げにします。生のコリアンダー1束は、葉をちぎり、ココナッツパウダー大さじ1、モロッカンシチュー少々、塩少々、オイル大さじ2を加え、ミキサーでペースト状にします。みりんで軽くのばした白味噌に、このコリアンダーペーストを混ぜ合わせ、素揚げした茄子の表面に塗ったら出来上がり。
焼きナスのスープ
ナス200gを、直火またはオーブンなどで焼きナスにします。出汁代わりに希釈した白だし200cc、無調整豆乳大さじ2をフードプロセッサーにかけ、醤油小さじ1/2程度で極薄味に調味し、温めます。仕上げに、バジル5枚、塩糀小さじ1/2、オリーブオイル大さじ2をすり鉢ですりつぶし、落としたらいただきます。
秋ナスのオランダ煮
お好みの種類のナスに、包丁目を入れて180℃の油で素揚げにします。バルサミコ酢、みりん、うすくち醤油10に対し、こいくち醤油1で合わせたつけ出汁に30分くらい浸せば完成。