RECIPEつくるたのしみ
出汁を味わう -焼きあごとかつお出汁

たとえば、お味噌汁。お椀に顔を近づけて、ふわりと鼻を抜ける出汁の香りに、ほっとした経験はありませんか。それぐらい、出汁は、日本の食生活になじみ深いものといっても過言ではありません。

日本には、100を超える出汁の種類があるそうです。かつお節やさば節などの節類、昆布、煮干し、焼あご、きのこ、干しえびや貝類など。
縄文時代に魚介類などを煮て食べていた頃、煮汁まで食べていたのを起源に、地域や料理に合わせて使い分けられてきました。
パック出汁や顆粒出汁など、便利なものもあるいま。「出汁をとる」と聞くと、大変に感じるかたもいるかもしれません。しかし日本の出汁は、素材に合わせて、水につけたり数分ほど加熱したりと、素材のよさをさっと引き出すのが基本。とてもシンプルな調理方法です。
出汁は、お味噌汁や煮物などに使う日々の調味料ですから、お好みのものを好きなように味わうのがいちばん。どうぞ、自分のベターを見つけてみてください。
「焼あご」を知っていますか

DEAN & DELUCAでご紹介している出汁の一つが、長崎・平戸の「焼あご」です。地元では、かつお出汁と合わせてお雑煮に使われます。特有のコクと、香ばしい香り、すっきり感が特徴で、ほかの素材との相乗効果で旨味が増します。地元の人にとっては、年末になると買い求める郷土の味なのだとか。
港町である平戸では、今も昔ながらの製法が守られています。それは、漁獲したあごを、その日のうちに炭火焼きにし、天日に干す「焼干し」。獲れたてのそのままを串刺しにして、炭火で焼いてと、全て手仕事です。しかも、一年のうち、9月中旬からひと月半に、平戸で獲れた10〜20cmほどの成魚になりたてのものしか使わないという季節仕事。つくり手の皆さんは、一匹ずつ串に刺し、炭火焼きにしていく手作業に勤しみます。
基本の焼あご出汁
ここからは、地元・長崎での「焼あご出汁」の基本のとり方と、それに合わせる「かつお出汁」のとり方をご紹介します。
焼あごは、ふつふつ泡が上がるくらいの弱火で煮出すことで、旨味が抽出されます。鍋の様子を観察するのが、おいしいの秘訣です。煮すぎると苦味が出るので注意しましょう。
かつお出汁は「かつお削り」でのとり方を2種類、お伝えします。「煮出し」は煮ることでしっかりとした風味の強い出汁がとれ、「水出し」はすっきりとした出汁が味わえます。いずれも、日々のお味噌汁や煮物などにお使いいただける基本の出汁です。
焼あご出汁

材料
水 | 1ℓ |
---|---|
焼あご | 30g |
出汁昆布 | 5cm角 |
とり方
- 焼あごを半分に折り、出汁昆布と一緒に水を張った鍋に浸しておく。夏場は1〜2時間、冬はひと晩が目安。
- 蓋はせず、鍋を中火にかけ、沸騰直前で昆布を先に取り出す。そのまま弱火で鍋底からふつふつ泡があがるぐらいで、5分ほど煮込む。
- キッチンペーパーなどをしいたざるで越したら出来上がり。
かつお出汁

材料
水 | 1ℓ |
---|---|
かつお削り | 30g |
出汁昆布 | 5cm角 |
とり方 (煮出し)
- 鍋に、水1ℓ、出汁昆布を入れ、1時間半くらい浸しておく。
- 中火にかけます。5〜10分ほど加熱し、鍋底からふつふつ泡が出てきたら、火を止めて出汁昆布を取り出す。
- かつお削り30gを2に入れ、弱火で1〜2分煮出す。
- キッチンペーパーなどをしいたざるで越したら出来上がり。
とり方 (水出し)
- ポットに材料を全て入れる。
- 冷蔵庫に8時間以上置いたら出来上がり。
出汁の黄金比

日本の出汁を使った料理には、おいしさの「黄金比」があります。調味料との合わせ方を一度覚えれば、あとはお好みに応じてアレンジしたり、違う料理に使ってみたりと、自由度が高いのもよいところ。
せっかくなら焼あごの出汁も黄金比をおさえて、幅広く味わってみませんか。ここからは、DEAN & DELUCAがおすすめする出汁のたのしみ方をご紹介します。
[使う出汁]
- かつお出汁(かつお節30g+出汁昆布10g ※上記レシピ参照)
- 焼あご出汁(焼あご30g+出汁昆布5cm角 ※上記レシピ参照)
- 基本の合わせ出汁(①かつお出汁+②焼あご出汁を1:1)
おすすめの出汁とたのしみ方
八方出汁
- おすすめの出汁
かつお出汁、焼あご出汁、基本の合わせ出汁
- 合わせ方
出汁 8:みりん1:薄口しょうゆ1を合わせて、鍋でひと煮立ちさせます。
- おすすめの料理
煮物。その名の通り、幅広く使える“八方よし”な万能出汁です。
旨出汁
- おすすめの出汁
かつお出汁、基本の合わせ出汁
- 合わせ方
出汁 6:みりん1:濃口しょうゆ1を、合わせて鍋でひと煮立ちさせます。
- おすすめの料理
天つゆ、麺つゆ、あんかけ、揚げ出し。こっくりとした味わいに仕上がるので、揚げ物や麺類に絡めたり、あんかけにしてもおいしくいただけます。
お浸し出汁
- おすすめの出汁
かつお出汁、基本の合わせ出汁
- 合わせ方
出汁 12:みりん1:薄口しょうゆ1を、合わせて鍋でひと煮立ち。冷まして使います。
- おすすめの料理
野菜のお浸し。出汁の風味を、季節の野菜と一緒におたのしみいただける料理です。
炊き込みごはん出汁
- おすすめの出汁
かつお出汁、焼あご出汁
- 合わせ方
出汁 12:料理酒1:薄口しょうゆ1をまぜるだけ。炊飯時に、出汁の分の水を抜いて加えます。
- おすすめの料理
季節の具材を入れた炊込みごはんに。出汁さえ決まれば、あとはシンプルでOK。
便利な合わせ調味料や出汁パックを活用するのも一つ。ですが、出汁と基本の調味料があれば、自家製で楽しめます。どうぞお試しください。
上質なお味噌汁をご家庭に

合わせ方によって、様々にたのしめる出汁。中でも日本人に馴染み深い料理といえば、お味噌汁です。地域ごとやお好みに合わせ、出汁、味噌、そして四季折々の具材を加え、食べられてきました。その豊かさは“食するよろこび”を体現しているといっても過言ではありません。
一方で「わざわざ出汁からお味噌汁をつくるのが大変」という声も少なくありません。また、日頃から料理に親しむかたの中には「新しい出汁との出会いを試してみたい」というかたもいらっしゃいます。
幅広い趣味趣向、ライフスタイルのかたに、本来のおいしさをお届けしたい。そこで2020年夏に、DEAN & DELUCAは、いつ、どこにいても本格的な出汁を味わえるお味噌汁を開発・発売しました。
共に取り組んだのは、昔ながらの製法で焼あごなどの出汁をつくる、長崎の出汁屋『中嶋屋本店』です。一つひとつの素材にこだわった3種類の出汁を選び、それぞれに合う味噌と具材を全国各地からセレクト。出汁の入門編としてはもちろん、忙しい日々でも豊かなおいしさを、お気軽に、できたてで味わっていただけます。