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LIG EVENT REPORT -モッツァレッラチーズづくり

『KURKKU FIELDS(クルックフィールズ)』といえば、DEAN & DELUCAでも水牛ミルクのモッツァレッラチーズが大人気のつくり手。今回は初の試み、オンラインイベントを開催しました。
スタッフが千葉県木更津市にある現地にお邪魔し、動画を通して飼育されている動物たちを紹介する牧場ツアーと、水牛モッツァレッラチーズの製造デモンストレーションの2部構成です。

司会は担当の小髙。案内してくださるのは、日本で唯一の水牛モッツァレッラ職人、竹島英俊さんです。

写真右が竹島英俊さん
「去年は雨が多かったけど、今年は少なめ。晴天が続いています」と竹島さん。青い空の下、目の前に広がる牧草地には日差しが降り注ぎ、夕方だというのに暑いぐらいの陽気です。
動画で巡る牧場ツアー
前半は、竹島さんが牧場で暮らす動物たちをご紹介くださいました。
「生まれたときから世話をしています」
まず顔を見せてくれたのは、スイス原産の牛、ブラウン・スイス。日本ではまだ珍しいそうですが、こちらには3頭も!
瞳がかわいらしく、大きな体を揺らして歩く姿は、優雅で静か。「基本的に性格は穏やかです。よくお乳も出してくれて、助かってます」と竹下さん。
リッチなミルクが特長で『KURKKU FIELDS』ではブラウン・スイスのソフトクリームを提供しているとのこと。
次はヤギのコーナー。真っ白だったり黒が混じったり、さまざまですが、どの子もリラックスしている様子。
「ヤギのお乳は何になりますか?」とのLIGメンバーからの質問に「チーズにもしますが、ジェラートもつくっています」とのこと。『KURKKU FIELDS』では、ヤギ、羊、ブラウン・スイス、水牛、それぞれのミルクジェラートをつくっているそうですが、中でも竹島さんのお気に入りはヤギのジェラート。
「個人的には、一番ミルキーでおいしいと思います」。搾ったお乳をすぐに加工するので、一般的にはクセがあるといわれるヤギのミルクも、びっくりするほど気になる匂いはないそうです。
お隣にいるのは羊たち。カメラに興味津々で近づいてくる様子に「みんなかわいくて癒されます」というチャットでのコメントが続々。
「『KURKKU FIELDS』の動物は、生まれたときから私たちがお乳をあげて世話をしているので人間に慣れていますが、羊は特に人間と共に生きる動物のような気がします」と竹下さん。

春には人の手で毛刈りをするが、毛をまとっているこの時期はやはり暑い様子。扇風機の取り合いをしながら涼んでいる
「濃厚でリッチな水牛のミルク」
いよいよメインとなる水牛の牛舎へ。
「ここから見ると壮大さが伝わるかと思いますが」と小髙が説明します。白木の木材が張りめぐらされた天井には扇風機が回り、その下で真っ黒な水牛たちがゆったりと干し草を食んでいます。
水牛は南にいるイメージですが、実は熱さに弱いそう。自然界では水辺で水浴びをして体温調節しますが、ここでは天井からミストを出して快適な温度を保っています。
水牛の飼育自体が日本では珍しいうえ『KURKKU FIELDS』でも一般公開はしていません。
何頭いるのかを伺うと「子牛を含めて42頭。搾乳している雌牛は12頭です」とのこと。カメラが入って水牛の様子を見ることができる貴重な機会に、参加者の方々からの質問も活発です。

「沖縄の水牛と同じですか?」との質問に「いい質問ですね。沖縄や東南アジアにいる水牛とは全く種類が違います。この子たちはイタリア原産の、乳用種の水牛です」と竹島さんが答えます。
乳用種とはいえ、水牛の特徴はお乳の量が少ないこと。600kgから700kgの大きな体でも、1日に5ℓぐらいと、牛の6分の1ほど。「その分濃厚でリッチなミルクなので、モッツァレッラチーズにすると、とてもおいしい。そのために飼っています」とのこと。

「横になっているのはリラックスしている証拠です」と竹島さん。ほのぼのと穏やかな様子に「どこを触ると気持よくなるのですか?」と最後の質問。
「目の周りとかこうやってなでなでしたり」と竹島さんが触ると、気持よさそうに目を閉じていて「まあ、触られたがりますよね」。近づくと竹島さんの取り合いになり、ベロベロ舐められて大変なのだとか。
水牛たちと竹島さんの仲睦まじい様子をたのしんだところで、今回特別にご案内いただいた牧場ツアーは終了です。
難関! モッツァレッラチーズづくり体験
さて、後半は『KURKKU FIELDS』のチーズがつくられるキッチンに場所を移し、モッツァレッラチーズのデモンストレーションに入ります。

まずは、事前に参加者の皆さんにお届けしたキットの材料と道具の確認です。
カード(凝固乳)と保存液が2つ。道具は、ボウルが2つに、プラスチックのザルとしゃもじ、包丁とまな板。あとは、グラグラに沸いたお湯。
「シンプルに言うと、カードを細かく切って熱湯をかけ、練ってモッツァレッラにして、ちぎる、という流れです。モッツァレラを練るという作業は、イタリアでも工場長の仕事です。
現地で3年働いた私でも一度もやらせてもらったことがない、それほど難しい工程です。まあ、脳みそを持っていかれるような非日常の体験を、今日はたのしんでください」と竹島さん。
45℃ぐらい、熱くてちょっと入れないお風呂ぐらいのお湯を入れ、カードを常温に戻します。「やさしく混ぜながら、30秒ぐらい泳がせる感じですね」。

ゆっくりヘラで泳がすと、チーズがトロトロに溶けていく
一度ザルにあげて、再びボウルに戻したら、グラグラに沸いた熱湯を600cc入れます。「お湯を入れたらノンストップですからね。いきますよ!」。
「お湯を入れたら、泳がせてあげるんです。まとめない。まとめないで広げていくイメージです。溶けてきましたね、でも焦っちゃいけない。水牛のリッチなミルクは全然耐えますから」

十分に水を抱き込んだら、一気にザルにあけてお湯を切り、またボウルに戻します。
しゃもじで折り込み、まとまってきたら「勇気をもって持ち上げます」。熱いので、水に手をつけて熱をやわらげながら折っていくと「ほら、ツルツルになります」。
「これでもう、すごくいいものができました」
蓋を閉めるようにまとめたら、親指と人差し指で半分にちぎり、水に戻して5分ぐらい冷やします。粗熱がとれたら、保存液に入れて、完成です。
「本当にあっという間のできごとでした」と小髙も驚き、参加者の皆さんと想いを共有します。
「勇気を持って持ち上げて!」
2度目の実演は、モニターの向こうにいる参加者の皆さんと一緒に進めていきます。「でもこれ、うまくできる人はほとんどいないと思います」と竹島さん。
「初めてでうまくできましたって言ったら、職人はいらないです。工場長の体験をしてみるっていう話ですから」

竹島さんの言葉に少し緊張感がほぐれ、お湯の準備が出来たことを確認し、いよいよスタート。竹島さんも再び実演しながら、ポイントを伝えていきます。
「お湯をダーっと入れます、勢いよく」
「水を抱き込むので、水風船みたいになります」
「あれ、ちょっと溶けすぎじゃないの、っていうぐらいまで」
「ドロドロでしょ、だけど折っていくとツルツルに」
「勇気をもって、持ち上げる」
「折っていくと、ツルツルピカピカになっていく」

竹島さんのアドバイスは、先ほどより目に浮かぶような表現となり、参加者の皆さんを力強く応援しています。
「皆さん、出来ましたでしょうか?」という小髙の声かけに、チャットが続々と返ってきました。
「出来たと思います」
「熱かったけど、出来ました」
「表面がザラザラした感じになってしまいました」
「ザルの穴から少し流れてしまいましたが、折り返していたらなめらかなのが出来ました」
「歯ごたえがあってジューシー」
それぞれなんとか出来上がったようで、竹島さんも少し安心した様子。最後に、竹島さんにおすすめの食べ方を紹介していただきました。

炊き立てご飯に乗せるのがポイント。ご飯の温かさでモッツァレッラのミルクが溶けだします。
ごはんの上に小さくちぎったモッツァレッラチーズと鰹節をのせ、お醤油をかけた、その名も「モッツァレッラ丼」。発酵食品同士の相性もよく、ごはんの温かさでチーズの食感がよりよくなるそうです。

「新鮮な水牛のモッツァレッラは、歯ごたえがあってジューシー。イタリア人は『美しい歯ごたえ』と呼んで、モッツァレッラはつくった当日か翌日のものしか食べません」
時間と共に消えていく「美しい歯ごたえ」を、まさにつくりたてのモッツァレラチーズで体感出来たのではないでしょうか。参加した方々からの感想です。
”ファーム内の案内もしていただいたので、実際にその場で体験しているみたいでした”
”生産者の方と、生産地を理解し、モッツァレッラをいただくことで、より理解できました。熱さに耐えながら手づくりされておられるのですね”
”牧場に興味のある子ども(13歳)がたのしくチーズをつくりました。『KURKKU FIELDS』にも伺いたいと思います”
”これからモッツァレッラをいただくときは、必ず竹島さんと水牛さん達を思い出すと思います”
その他にも、貴重な体験だったとのお声をたくさんいただき、全国のお客さまに、動物たちとつくり手の想いが伝わったイベントとなりました。
「またやれたらいいね」と竹島さん。どうぞ次回の開催も、ご期待ください。

DEAN & DELUCA オンラインストアでは『KURKKU FIELDS』から届く国産水牛乳のチーズとシャルキュトリーセットをご用意しています。